環境整備とは、入院している患者の身の回りの環境を安全かつ清潔に整えることです。なぜ環境整備が必要なのか、基本的な内容から確認していきましょう。
ナイチンゲールが看護実践における環境整備の必要性を説いて以来、看護師が行う環境整備は必須のものとなりました。病室は入院している患者にとって生活の場であり、特にベッド周りは重要なスペースです。患者の自立度が高ければ、ある程度は自分で環境を整えられます。しかし、余計な体力を消耗する可能性があるだけでなく、患者の状態によっては大きな事故につながるリスクもあります。そのため、看護師は患者の状態に応じた環境整備をしなければなりません。
患者は何らかの疾患を抱えており、免疫力が低下しています。また、病院には感染症の患者も集まっているため、免疫力が低下していない患者であっても衛生管理が必要です。そのため、看護師は院内感性が起きないように、あらゆる場所の衛生管理に取り組まなければなりません。感染症は医療器具を介して発生することもあるため、治療に用いる医療器具の衛生管理も必須です。
新鮮な空気や適度な日光、過ごしやすい温度、静けさなどが保たれていなければ患者は大きなストレスを受けてしまいます。ストレスは免疫力の低下を招くため、それらのマイナスな要素を排除しなければなりません。病室の空気や明るさを適切なレベルに調節し、不快な音やにおいを防ぐ取り組みが求められます。複数の患者が入院している部屋で患者同士のトラブルが起きないように配慮することも、環境整備の一環です。
環境整備を徹底し、患者の状態を観察しながらコミュニケーションを取ることで、治療を効率的に進められます。高齢化が進み、柔軟にコミュニケーションを取ることが難しい患者も増えました。そのため、環境整備を実施する中で患者ごとのこだわりや傾向を十分に把握する必要があります。また、環境整備に積極的に取り組むことで、患者に対して安心感を与えられます。
環境整備は、患者だけでなく自分を含めたスタッフ全員が安全に働ける環境を整えるためのものでもあります。転倒などのリスクがあるのは、患者だけではありません。患者の介助やケアを行うスタッフにも転倒リスクがあるので、環境整備によってスタッフ全員が安全かつ快適に働けるように取り組む必要があります。現場の状況を熟知している看護師こそが適切な環境整備を行えるため、責任感を持って取り組まなければなりません。
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